わたしのセルフケア手帖

心と身体のセルフケアで自分をたいせつにしよう

「在宅ひとり死」記事について社会福祉士が感じた違和感( 1 )

 

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今日は気になるルポルタージュ記事を読みました。
自宅で暮らす高齢者やその家族と社会福祉士として関わっていた経験のある人間として、感じたことをつらつらと書いてみます。

toyokeizai.net

看取り士とは、余命告知を受けた本人の家族から依頼を受け、本人や家族の不安や恐怖をやわらげ、思い出を共有し、最後は抱きしめて看取ることをうながす仕事。家族がいない人を支えることもある。
 (中略)
通常の派遣依頼は高齢者の家族からの場合が多い。だが、自宅で過ごすことを希望する単身者の場合、介護プランの作成を担当するケアマネジャーから依頼されることがある。


まずいきなりツッコんで申し訳ないんですが、看取るなら「ひとり死」じゃないですよね。

看取り士という職種を知らなかったのですが、岡山に本部組織のある民間資格のようです。


「本人の家族から依頼を受け」とありますが、基本的に「本人からの依頼」ではないのでしょうか。本人が意思表示できない状態であればそれは自ら望んでいませんし、本人が希望して家族に依頼してもらった、ということなのでしょうか。

いきなり違和感を感じてしまうんですが、余命宣告を受けた人が、家族以外の、いきなりやってくる人となりも知らない人と思い出を共有して看取って欲しいと思うだろうかという疑問があります。

 

余命宣告された方なら病院での闘病生活を終えて自宅に戻られるわけで、往診や訪問看護や訪問介護などの看取りチーム体制をソーシャルワーカーなどが相談の上整えてくれるはずです。家族のいない人でも一人で放り出されることはないと思うのですが。

 

西河が、ケアマネジャーから田中が極度の女性嫌いだと聞かされたのは、最初の面会後。ベテランの彼女も田中にはまるで取りつく島がなく、困り果てて西河に依頼してきたという。


…全然「終末期の本人が自宅でひとり最期を迎えるために支援を希望した」わけじゃなくないですか?難しい利用者さんにお手上げのケアマネが助っ人頼んだだけでは…?

なんだか頭の中が「?」だらけです。

最初の面会から数日後、西河も1人で訪問すると案の定、田中に玄関ドアから閉め出された。彼は多少酔っていて、口から酒のにおいがした。

「自分で(生活)できるから迷惑なんだよっ!」

 

…本人迷惑がってませんか?ケアマネが本人に意思確認しないで頼んだんですか?


そもそも看取り士への報酬はどうなってるのかと思ってサイトを見てみました。

http://mitorishihaken.jp/docs/haken.pdf

 

まず11,000〜8,800円という表記方法もおかしいですが、シンプルに高い。
依頼者が納得されて払ってるならいいんですが。
この記事の田中さん、頼んでないのに勝手に来た人に11,000円払ったんですかね?

「医療保険・介護保険を充分お使いいただいた上でのサポートです」と、保険外の自費サービスであることをなんとなくぼかしてあるのも気になります。

 

田中への対応を一任したケアマネジャーは、西河のねばり強い対応力を指摘する。「最初に閉め出されても少しもめげず、最後は田中さんからとても強い信頼をおかれていました」


…やっぱケアマネが一任しちゃってる!

こういう拒否のある人の扱いに慣れているヘルパーやケアマネっているんですよね。粘り強くてグイグイ行ける人。「困難ケースは◯◯さんに頼め」と上司に教えられたことがあります。

看取り士というよりこの人がそういうタイプで伝手などで知られて頼まれた可能性もありますね。そして粘り強い対応で何度も訪問したであろう間の高額の報酬はどこから出ているのかという謎。

 

風呂好きな田中は、西河にすすめられて入浴を再開し、亡くなる3日前まで毎日入っていた。
「最後のほうは西河さんの訪問予定時刻の前に入浴されていて、やがて体力的にきつくて自力で(浴槽から)上がれなくなると、今度は西河さんに自分の身を委ねて、介助されるほどでしたから」(ケアマネジャー)


誰も訪問していない時に一人で入浴させるのは危ないと思うのですが。
ただでさえ入浴は家の中で一番危険な行為です。
一人暮らしの高齢者さんは、まだ自力で入れるのに「万が一があるかもしれないから」と自宅で入浴せずデイサービスや銭湯にわざわざ通う方が多いくらいです。

生活歴の聞き取りで温泉が好きと知っているのだから、ケアマネが入浴介助のヘルパーを入れて安全な環境で入浴してもらうのが安心じゃないでしょうか?

西河は再びベッドに横たわる田中の頭を左ももにのせて、静かに呼吸を合わせた。本人の死への不安や恐れを分かち合う「看取りの作法」だ。


ベッドに横たわっている人の頭を左ももに乗せて…?つまり膝枕?看取りの作法?

本人が膝枕してくれと頼んだならいいんですが、やめてくれとも言えない状態になっているのに作法と称して勝手にそんな行為をするのはそれこそその方の尊厳を傷つけていませんか?

 

実は在宅医の彼も、診察前に田中が入浴したまま浴槽から出てこられなくなった際、怒ることもなく風呂場までやってきて、「入浴できるのは健康な証拠」と、田中に伝えたことがあったという。


「入浴したまま浴槽から出てこられなくなった」のに「入浴できるのは健康な証拠」?

終末期だからって万が一浴室で亡くなったらつらすぎます。
やっぱり入浴介助ヘルパーを投入するタイミングだったと思うのです。
…まあ、田中さんが「誰の介助もいらない、風呂で死んでもいいから一人で入りたい」とでも言ったなら難しいところですけど、看取り士に介助してもらっていたようですしね。


…すみません、盛大にツッコんでしまいましたが、看取り士というお仕事を否定しているわけではありません。本人や家族が本当に希望して、サービスの最後まで満足したならもちろん問題ないです。


ただ、看取りはとても難しい行為です。
わたしは看取りの支援をしたことはないのですが、看取り現場にいる医師や看護師のお話を聞く講習会に参加したことがあります。

本人・ご家族のメンタルケアは専門的な知識と経験を積んだ方でないと難しいと感じました。

看取りに対応できる「終末期ケア専門士」という資格が既にあり、看護師など医療福祉専門職の方の取得が多いです。
わたしなら、ターミナルケアの専門知識を持った訪問看護師をお願いすると思います。


まだまだ気になることがあるのですが、少し調べてから続きを書きたいと思います。
訪問看護師さんやケアマネさんの意見をぜひ聞いてみたいです…。

 

9/12 追記 続きを書きました

selfcare-note.net